2007年08月24日

中華料理店のおかしなメニュー

僕が以前に執筆した書籍が思ったより売れて、重版が決まったお祝いに編集部に飲みに連れて行ってもらった。
もともと印税契約ではないので、本がいくら売れても僕に追加ボーナスが支払われることはない。
ただこんなふうに飲みに連れていってもらうだけだ。

はっきり言ってしまえば家でDVDでも観ながらのんびり手酌するほうがよほど楽しい。
だがこれも付き合いの一環だ。
僕は、バラエティ番組のひな壇に並んだ若手芸人みたいにその場を盛り上げるわけです。仕事ですから。

しかし、今日行った中華料理屋のメニューはひどかった。
大して多くもない飲み物メニューに、かぼすサワーとすだちサワーが並んでいた。
一般人からすればどこがどう違うんだって話だ。
前妻が大分出身で、今の妻が徳島出身である僕にしか違いがわからないんじゃないかな。
そんな人が全国にいったい何人いるんだ。

でもまあそんなことはどうでもいい。
問題はカクテルのメニューにあった「バハナミルク」だ。
ハバナではない。バハナだ。
文字を見るとメニューだろうがなんだろうがすぐに校正したくなるのは職業病だろうが、フォントが統一されてないとか見出しの格がおかしいとか言う前に、とにかくバハナとは何かということが気にかかった。
そしてそのすぐ下には「ストロベリーミルク」がある。
とするとこれは「バナナミルク」の誤記である可能性が高い。

僕はいたたまれなくなって「バハナミルク」を注文した。
すると店員が「バハナミルクですね」と確認してきた。
あくまでバハナなのか。誤記ではないというのか。

店員が持ってきた飲み物は微妙なものであった。
たしかにバナナのような香りがしなくもない。
しかしバナナというには薄すぎる。

僕は店員をつかまえて訊いてみた。
「これ、バハナミルクってなってますけど」
「はあ」
「どういう飲み物なんですか?」
すると店員はこう答えた。
「えっと、バナナの味がします」
それを聞いたら僕だって引き下がってはいられない。
「それならどうしてバナナミルクにしないんですか? ていうかバハナってなんですか?」

その質問に店員は、真顔で「さあ、わかりません」と答えた。

「えっと、つまり、きみは、バカなの?」
僕は必死にそのセリフを飲み込んだ。
この若い女店員は、自分が勤めている店のメニューのおかしな名称について、疑問をはさんだことすらないのだ。
なんと哀れな脳なのだ。
僕が店員なら、もし正しい答えを調べていなかった(そんなことはありえないが)としても、気の利いた答えを一瞬で3つくらい思いつくことができる。
しかし彼女の脳はそんな説明を思いつかないどころか、彼女の表情に取り繕いの笑顔を浮かべさせることすらできない。
それでもまだ美人なら許されただろうに、あなたときたら。

あるいは僕は、店長を呼んで、バハナとはなんなのかということについて、しっかり問い詰めるべきだったのかもしれない。
しかし、なんというか、飲み会の空気みたいなものが、それ以上食い下がることを僕に求めていなくて、僕はあいまいな笑顔を浮かべながら下を向くしかなかった。
喫煙者ならこういうときにタバコに火をつけるんだろう。

次に行った店で誰かが「アルコールの少ないカクテルはどれですか」と聞いたら、店員が「ベースになるお酒をどれだけ入れるかってだけの話なんで、どれが濃いとか薄いとかはないです」と言った。
僕はまた「えっと、つまり」から始まる言葉を飲み込まねばならなかった。
posted by ハジメ at 01:19| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
Posted by 履歴書の送り状 at 2014年07月09日 09:13
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